聖クルアーン
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本章名は,第1節の山にかけて誓うの語にちなんで名付けられる。マッカ時代の最初期の啓示である。ムーサーはシナイ山上で啓示を受け,聖預言者ムハンマドは,マッカのヒラー山腹の洞窟で最初の啓示を受けた。この類似が以下の緒節の教えに及ぶ。元来啓示は,古い時代の諸啓示をも含め,アッラーの種々の印と一致するものであり,現世のみならず来世についての教えでもあるから,それに対し用意しなければならないことが,本章においても強調される。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。  
かの(啓示の)山にかけて(誓う)。1
   
整然と書き記された啓典にかけて,2
   
巻かれていない羊皮紙に,3
   
不断に詣でられる聖殿にかけて,4
   
高く掲げられた天蓋にかけて,5
   
漲り(温?)れる大洋にかけて(誓う)。6
   
本当に主の懲罰は必ず下る。7
   
それは避け得ない。8
   
その日,天は大いにゆらゆらと揺れ,9
   
また山々は揺ぎ動くであろう。10
   
その日,(真理を)虚偽であるとした者に災いあれ。11
   
虚しい事に戯れていた者たちに。12
   
かれらが(もの凄い力で)地獄の火の中に突き落されるその日,13
   
(こう言われよう。)「これこそは,あなたがたが虚偽であるとしていた地獄の業火である。14
   
これでも魔術なのか。それともあなたがたは,見えないのか。15
   
あなたがたはそこで焼かれるがいい。あなたがたがそれを耐え忍んでも,忍ばなくても同じこと。あなたがたが行ったことに,報いられるだけである。」16
   
主を畏れた者たちは必ず楽園の歓びの中に置り,17
   
主がかれらに与えるものに歓喜し,また主が獄火の懲罰からかれらを救われたことを喜ぶ。18
   
(かれらには言われよう。)「楽しんで食べ,且つ飲め。これもあなたがたの(善い)行いのためである」。19
   
かれらは並べられたソファーに寄りかかり,われは美しい目の乙女たちをかれらの配偶者にするであろう。20
   
信仰する者たち,またかれらに従った信心深い子孫の者たち,われは,それらの者を(楽園において)一緒にする。かれらの凡ての行為に対し,少しも(報奨を)軽減しないであろう。誰もがその稼ぎにたいし,報酬を受ける。21
   
またわれは果物,肉,その外かれらの望むものを与えよう。22
   
かれらはそこで互いに杯を交そう。その時にも虚しい話にふけることなく,乱暴も犯さない。23
   
かれらの周には,秘められた真珠のような子供が傅いて巡る。24
   
かれらは互いに近寄って,尋ね合い,25
   
言っていた。「以前,わたしたちは家族の間にいてもいつも気を遺っていた。26
   
だがアッラーは,わたしたちに御恵みを与えられ,熱風の懲罰から御救い下された。27
   
以前からわたしたちは,かれに祈っていたのです。本当にかれは恵み厚く,慈悲深き御方であられる」28
   
さあ,かれらに訓戒しなさい。主の恩恵によって,あなたは占い師でも気違いでもない。29
   
またかれらは,「只の詩人だ。かれの運勢が逆転するのを待とう」と言う。30
   
言ってやるがいい。「待っているがいい。わたしもあなたがたと共に待っていよう。」31
   
一体かれらの貧しい理解力がこう命じたのか,それともかれらは法外な民なのか。32
   
または,「かれ(ムハンマド)がこれを偽作したのである。」と言うのか。いや,かれらは信じてはいないのである。33
   
もしかれらの言葉が真実なら,これと同じ御告げをもってこさせるがよい。34
   
かれらは無から創られたのではないか。それともかれら自身が創造者なのか。35
   
それともかれらが,天と地を創造したのか。いや,かれらにはしっかりした信仰がないのである。36
   
それともかれらは,あなたの主の様々な宝物を持っているのか。または(事物の)管理者なのか。37
   
それともかれらには梯子があって,それで(天に登り,その秘密を)聞くことが出来るのか。それなら聞いたという者に,明確な証拠を持って来させるがよい。38
   
それともあなたがたには息子があって,かれには娘がある(だけ)というのか。39
   
それともあなたが,かれらに報酬を求め,それでかれらは負債の重荷を負っているというのか。40
   
それとも幽玄界のことがすっかり分っていて,それを書き留めているというのか。41
   
それとも(あなたに対して)策を巡らす積もりか。だが背信者たちこそ,策謀にかかるであろう。42
   
それともかれらは,アッラー以外に神があるというのか。アッラーに讃えあれ,かれは配するもの(邪神)の上にいと高くおられる。43
   
仮令天の一角が(かれらの上に)落ちるのを見ても,かれらは,「積み重なった雲です。」と言うであろう。44
   
かれらは,(恐れのために)そこに昏倒する(審判の)日に会うまで,放って置け。45
   
その日かれらの策謀は,何の益もなく,結局かれらは助けられないであろう。46
   
本当に不義な行いの者には,この外にも懲罰がある。だが,かれらの多くは気付かない。47
   
それで主の裁きを耐え忍んで待て。本当にわれはあなたがたを見守っている。そしてあなたが立ち上がる時は,主を讃えなさい。48
   
夜中に,また星々が退く時にも,かれを讃えなさい。49