聖クルアーン
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本章名は,第1節にある語にちなみ名付けられる。マッカ初期の啓示である。ある時預言者がタライシュ族の有力者たちに入信の説得に努めているとき,ひとりの貧しい盲人アブドッラー・イブン・ウンム・マクトゥームが来てクルアーンについてしつこく質問した。そのため大事な話が中断されたので,かれは眉をひそめた。このような預言者ムハンマドの態度に対してアッラーの戒めが述べられている。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。  
(ムハンマドは)眉をひそめ,顔を背けた。1
   
一人の盲人がやって来(て話が中断され)たためである。2
   
あなたにどうして分ろうか,かれは清められるかも知れないことが。3
   
または訓戒を受け入れて,その教えはかれを益するかもしれないことが。4
   
だが何の助けもいらない者(財産家)には,5
   
(関心をもって)応待する。6
   
しかもかれが自ら清めなくても,あなたに責任はない。7
   
だが熱心に(信仰を)求めてあなたの許に来た者で,8
   
畏敬の念を抱いている者には,9
   
あなたは軽視した。10
   
断じてそうであるべきではない。本当にこれ(クルアーン)は訓戒である。11
   
だから誰でも望む者には,訓戒を念じさせなさい。12
   
それは(アッラーの御許にある)帳簿に記されているもの。13
   
至高にして清純なもの。14
   
書記たち(天使)の手で(記録されたもの)。15
   
気高く敬虔な(書記たち)。16
   
人間(不信心者)に災いあれ。何とかれは忘恩なことよ。17
   
かれはどんなものから,かれを創られるのか。18
   
一滴の精液からである。かれは,かれを創り,それから五体を整えられ,19
   
(母の胎内からの)かれの道を容易になされ,20
   
やがてかれを死なせて墓場に埋め,21
   
それから御望みの時に,かれを甦らせる。22
   
いや,かれが命じられたことを,(不信仰者は)果さなかった。23
   
かれに,自分の食物に就いて考えさせてみるがよい。24
   
本当にわれは,水(雨)を豊かに注ぎ,25
   
次いで大地を裂いて切れ切れにし,26
   
そこに生長させるものには,穀物,27
   
またブドーや青草,28
   
オリーブやナツメヤシ,29
   
繁茂した庭園,30
   
果物や牧草(がある)。31
   
あなたがたとあなたがたの家畜のための用益である。32
   
やがて,(終末の)一声が高鳴り,33
   
人が自分の兄弟から逃れる日,34
   
自分の母や父や,35
   
また自分の妻や子女から(逃れる日)。36
   
その日誰もかれも自分のことで手いっぱい。37
   
(或る者たちの)顔は,その日輝き,38
   
笑い,且つ喜ぶ。39
   
だが(或る者たちの)顔は,その日挨に塗れ,40
   
暗黒が顔を覆う。41
   
これらの者こそ,不信心な者,放蕩者である。42