本章名は,第1節の「沈みゆく星」の語にちなみ名付けられる。マッカ時代の初期の啓示とされる。第56章の序説に記るした7つの章のうちの第4番目の章で,啓示は妄想ではなく,啓示を懐疑して邪神を崇拝する者の心に宿るものである。アッラーは万有の本源であられ,また帰り着く所である。このことは,聖預言者こそ卓越した存在であり,すべてを克服するに至ることの示唆である。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 あなたがたの同僚は,迷っているのではなく,また間違っているのでもない。
2 凡そ弓2つ,いやそれよりも近い距離であったか。た。
9 そしてしもべ(ムハンマド)に,かれの啓示を告げた。
10 かれの見たことに就いて,あなたがたはかれと論争するのか。
12 本当にかれ(ムハンマド)は,再度の降下においても,かれ(ジブリール)を見たのである。
13 (かれの)視線は吸い寄せられ,また(不躾に)度を過ごすこともない。
17 あなたがたは,アッラートとウッザーを(何であると)考えるか。
19 あなたがたには男子があり,かれには女子があるというのか。
21 それらは,あなたがたや祖先たちが名付けた(只の)名前に過ぎない。アッラーは(どんな)権威をも,それらに下されなかった。かれら(不信心者)は,虚しい臆測や私慾に従っているに過ぎない。既に主からの導きが,かれらに来ているのに。
23 凡そ人間には,欲しいものは何でも手にはいるのか。
24 天に如何に天使がいても,アッラーが望まれ,その御喜びにあずかる者にたいする御許しがでた後でなければ,かれら(天使)の執り成しは何の役にも立たない。
26 本当に来世を信じない者は,天使に女性の名を付けたりする。
27 かれらは(何の)知識もなく,臆測に従うだけである。だが真理に対しては,臆測など何も役立つ訳はない。
28 それであなたはわれの訓戒に背を向ける者,またこの世の生活しか望まない者から遠ざかれ。
29 この程度(現世の生活)が,かれらの知識の届く限界である。本当に主は,道から迷っている者を最もよく知っておられる。またかれは,導きを受ける者を最もよく知っておられる。
30 本当に天にあり地にある凡てのものは,アッラーの有である。だから悪行の徒には相応しい報いを与えられ,また善行の徒には最善のもので報われる。
31 小さい誤ちは別として,大罪や破廉恥な行為を避ける者には,主の容赦は本当に広大である。かれは大地から創り出された時のあなたがたに就いて,また,あなたがたが母の胎内に潜んでいた時のあなたがたに就いて,最もよく知っておられる。だから,あなたがたは自分で清浄ぶってはならない。かれは主を畏れる者を最もよく知っておられる。
32 そういう者に幽玄界の知識があって,それで何でも見えるというのか。
35 それとも,ムーサーの書にあることが,告げられたことはないのか。
36 また(約束を)完全に果たしたイブラーヒームのことも。
37 重荷を負う者は,他人の重荷を負うことは出来ない。
38 人間は,その努力したもの以外,何も得ることは出来ない。
39 その努力(の成果)は,やがて認められるであろう。
40 また2度目の創造(の復活)も,かれの御心のままである。
47 それ以前にヌーフの民も。本当にかれらは,酷い不義,不正の輩であった。
52 また(ソドムとゴモラのように)転覆された諸都市。
53 (人びとよ,)一体主のどの御恵みに,あなたがたは異論を抱くのか。
55 これは,昔の警告者たちと同じ一人の警告者である。
56 一途にアッラーにサジダし,(かれに)仕えなさい。〔サシダ〕
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