トップ » 聖クルアーン » 抗弁する女 (アル・ムジャーダラ)
本章名は,第1節にある自分と子供のため,ある婦人の訴えた抗弁が,主に受け入れられた物語にちなんで名付けられる。またムスリム同胞内における秘密の相談や陰謀について警告され,不断にアッラーの御手の中に住むよう教えられる。この啓示は,ヒジュラ5年ころのものとされる。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。
アッラーは,自分の夫に就いてあなたに抗弁し,なおアッラーに不平を申し立(て祈)る女の言葉を御聞きになられた。アッラーは,あなたがた両人の議論を御聞きになられた。本当にアッラーは全聴にして全視であられる。1
あなたがたの中で,ズィハールによって,その妻を遠ざける者がある。しかしかの女らはかれらの母ではない。母はかれらを生んだ者以外にはないのである。実にかれらの言うことは不法な,虚偽の言葉である。本当にアッラーは寛容にしてよく罪を赦される。2
ズィハールを宣言してその妻を遠ざけた者が,後にその言ったことを撤回しようとする時は,両人が互に触れる前に,一人の奴隷を解放しなければならない。これは,あなたがたに戒告されたことである。アッラーは,あなたがたの行うことを熟知なされる。3
しかし(解放する奴隷を)持たない者は,両人が互に触れる前に,2ヶ月続けて斎戒しなさい。それをなし得ない者は,60人の貧者に食を与えなさい。これは,あなたがたにアッラーと使徒を信じさせるためである。これらがアッラーの掟である。不信者に対しては痛ましい懲罰があろう。4
本当にアッラーと使徒を拒否する者は,かれら以前の者たちが,卑しめられたように卑しめられるであろう。われは明白な印を下している。不信者に対しては,恥ずべき懲罰があろう。5
その日アッラーはかれらを一斉に甦らせ,かれらの行ったことを告げられる。かれらはその事を忘れているが,アッラーはそれを計算に入れられる。本当にアッラーは凡てのことを実証される御方である。6
あなたは,天地にある凡てのものをアッラーが知っておられることを知らないのか。3人で秘密の相談をしてもかれは4人目に常におり,5人の時もかれらの6人目に常におられる。それより少くてもまた多くても,かれらが何処にいようとも,かれはかれらと共におられる。それで審判の日には,かれはかれらの行ったことを,かれらに告げられる。本当にアッラーは凡てのことを熟知なされる。7
あなたは,秘密の相談を禁じられた者たちが,その後禁じられたことに返っているのを見なかったのか。かれらは罪悪と敵意と使徒への犯意とで,密議したではないか。またかれらがあなたのもとに来た時,アッラーがあなたに対して決して挨拶されなかった言葉(死を意味する呪いの言葉など)で,あなたに挨拶しておいて(罵って)からかれらは仲間うちで,「何故アッラーは,わたしたちの言ったことを罰さないのだろうか。」と言う。かれらには地獄で十分である。かれらはその中で焼かれよう。何と悪い帰り所であることよ。8
あなたがた信仰する者よ,あなたがたが秘密の相談をする時は,罪と敵意と,使徒への犯意とで密議してはならない。善意と敬神の念をもって相談しなさい。アッラーの御許に,あなたがたは集められるのである。かれを畏れなさい。9
秘密の相談は,悪魔による(示唆)だけで,信仰する者たちを悲嘆させるためのもの。だがアッラーの御許しがない限り,少しもかれらを害することは出来ない。それで信者たちに,アッラーを信じさせなさい。10
悪魔がかれらを支配し,アッラーを念うことを忘れさせた。かれらは悪魔の仲間である。本当に悪魔の仲間は損失者である。19
アッラーが,一斉にかれらを復活させる日,かれらは(現世で)あなたがた(ムスリム)に誓ったようにかれに(ぬけぬけと信者であると)誓い,かれらは(これによって)来世でも何とかなると思っている。いやとんでもない。かれらは本当に虚言の徒である。18
かれらの富も子女も,アッラーに対しては,少しも役立たない。かれらは業火の仲間である。永遠にその中に住むであろう。17
かれらは誓いを(かれらの悪行の)隠れ場とし,アッラーの道から(人びとを)阻む。かれらは恥ずべき懲罰を受けるであろう。16
アッラーはかれらのため,厳しい懲罰を備えられる。本当にかれらの行うことは大悪である。15
あなたは,アッラーの怒りを被った人びとを友とする者に,気付かないのか。かれら(偽信者)はあなたがた(の仲間)でもなく,またかれら(の仲間)でもない。かれらは知っていながら,偽りの誓いをたてる。14
あなたがたは,私的な相談を始める前に施しをすることを尻込みするのか。仮にそれを行わず,アッラーがあなたがたに悔悟を赦された場合は,礼拝の務めを守り,定めの喜捨をし,アッラーと使徒に従いなさい。アッラーはあなたがたの行う一切を熟知なされる。13
信仰する者よ,あなたがたが使徒に私的な相談をする時は,相談を始める前にまず施し〔サダカ〕をしなさい。それはあなたがたのために最も良く,また最も清廉なことである。もし(それが)出来なくても,本当にアッラーは寛容にして慈悲深くおわします。12
あなたがた信仰する者よ,集会のおりに(広く)席をあけなさいと言われた時は,直ぐ席を譲れ。アッラーはあなたがたのために(十分な)席を与えられる。また立ち上るよう言われた時は,直ぐ立て。アッラーはあなたがたの中信仰する者や,知識を授けられた者の位階を上げられる。本当にアッラーは,あなたがたの行う一切を熟知なされる。11
アッラーと使徒に反抗する者は,最も卑しい者の仲間である。20
アッラーは,「われとわが使徒たちは必ず勝つ。」と規定なされた。本当にアッラーは,強大にして偉力ならびなき御方であられる。21
あなたは,アッラーと終末の日を信じる民が,アッラーと使徒に反抗するような者と親交を結ぶところを見ないであろう。仮令かれらがかれらの父や,子,兄弟や親族であっても。かれはこれらの者の心の中に信仰を書き留められ,親しく聖霊によって強められる。また川が下を流れる楽園に入らせ,永遠にその中に住ませられるのである。アッラーはかれらを愛でられ,かれらもかれに満悦すろ。これらは,アッラーの一党(信者)の者である。本当に,アッラーの一党の者こそ,非常な幸福を成就する者である。22