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本章は,第1節の語にちなみ人間章と名付けられ,また時〔アッ・ダフル〕章とも呼ばれ,マディーナ時代の啓示である。本章はもっばら人間の完成への方途について記される。偶像信者は時以外には自分を滅ぼすものは無いというが,これは大変な間違いである。本当にアッラーだけが絶対者自存者であられ,永生者,絶対の存在者,実在者であられる。かれの神性をわれわれの想像で,どんな架空なものとも置き替えてはならない。本章は他のマッカ啓示の場合と同様に,全体にわたり至高の象徴で表わされている。その解釈にさいしては,この点をつねに留意しなければならない。
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。  
人間には,なにものとも呼べない,長い時期があったではないか。1
   
本当にわれはかれを試みるため混合した一滴の精液から人間を創った。それでわれは聴覚と視覚をかれに授けた。2
   
われは,人間に(正しい)道を示した。感謝する者(信じる者)になるか,信じない者になるか,と。3
   
不信心者には,われは鎖と首枷と烈火を準備して置いた。4
   
(信者の)善行者は,カーフールを混ぜた杯(の飲物)を飲むであろう。5
   
(それは)アッラーのしもべたちが飲む泉のことで,われは思いのままに滾々と(泉を)涌き出させる。6
   
かれら(善行者)は誓いを果し,災厄の広がる日を恐れている。7
   
またかれらは,かれを敬愛するために,貧者と孤児と捕虜に食物を与える。8
   
(そして言う。)「わたしたちは,アッラーの御喜びを願って,あなたがたを養い,あなたがたに報酬も感謝も求めません。9
   
わたしたちは,主の苦渋に満ちた御怒りの日を恐れます」。10
   
それでアッラーは,その日の災厄からかれらを守り,素晴しい喜びを与えられる。11
   
かれらが耐え忍んだので,かれは楽園と絹(の衣)でかれらに報われ,12
   
その(楽園の)中で,寝床の上にゆったりと身を伸ばし,かれらは酷暑の太陽も,水る寒気もおぼえないであろう。13
   
(樹木の)木陰はかれらの上を覆い,(果実の)房は慎ましく垂れ下る。14
   
銀の水差しとガラスの杯は,かれらの間に回されよう。15
   
ガラス(の杯と見えたの)は銀で造られていて,かれらは好みの量をそれに満たす。16
   
かれらはそこて,生姜を混ぜた杯の飲物を与えられよう。17
   
そこに,サルサビールと名付けられる泉がある。18
   
また永遠の少年たちがかれらの間を往米し,あなたがかれらを見ると,(捲?)き散らされた真珠であると思うであろう。19
   
あなたは視線を向けると至福の壮大な三国を認めるであろう。20
   
かれらは美しい緑色の絹と錦の外衣を纒い,銀の腕輪で飾られ,主はかれらに純良な飲物を飲ませられる。21
   
「本当にこれはあなたがたに対する報奨である。あなたがたの努力が受け入られたのである。」(と仰せられよう)。22
   
われこそは,段階をおってあなたにクルアーンを下したものである。23
   
だから(伝道に専念し),あなたの主の審判を耐え忍んで待て。かれらの中の罪ある者や,不信心者に従ってはならない。24
   
朝な夕な,あなたの主の御名を唱念しなさい。25
   
そして夜の一部をかれにサジダし,長夜のしじまに,かれを讃えなさい。26
   
本当にこれらの者は,束の間の生活を愛し,重大な日を背後に捨て去る。27
   
かれを創り,その四肢を堅く縛ぎ止めたのはわれである。われが欲するならば,かれらと類似の外のもので置き替えることも出来るのである。28
   
本当にこれは一つの訓戒である。だから誰でも望む者には,かれの主への道をとらせなさい。29
   
だがアッラーが御望みにならなければ,あなたがたは欲しないであろう。アッラーは全知にして英明であられる。30
   
かれは,御心に適う者を慈悲に浴させ,また不義の徒に対しては痛烈な懲罰を備えられる。31